ここ数年、まとまった雪が降らなかったボルチモアですが、今年は比較的雪が多く、気温が氷点下を下回る日が続いています。日中も気温がほとんど上がらないため、降り積もった雪がそのまま氷になり、歩道を歩くのが非常に危険です。スノーシューズが欠かせません。他方、主要な道路は雪が積もるとすぐに除雪が行われ、大量の融雪剤(おそらく塩)が撒かれるため、運転には困りません。しかし、その結果、車が驚くほど汚れてしまうのが悩みどころです。。。
先日、DCにある日本の研究助成団体(Funding Agency: FA)の皆様が来ボルチモアし、各FAが展開する事業についてJSSBにてご説明いただきました。特に、海外からも応募可能な助成金やフェローシップに関するお話が中心で、興味深い内容が盛りだくさんでした。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のDC事務所からもスペシャルゲストとして参加いただき、宇宙事業の概要や、NASAとの連携を含む国際的な取り組みについてご講演いただきました。
この説明会は、2023年に当時、日本医療研究開発機構(AMED)の副所長だった鶴見さんのご厚意で初めて開催されたものです。資金に関する話題はやはり研究者共通の関心事であり、今回も大変盛況でした。リクエストも多かったため、今回は科学技術振興機構(JST)の津田さんや日本学術振興会(JSPS)の小松崎さんのご協力を得て実現しました。
以下、イベントを通じて得た印象を簡単にまとめました。
JAXA-DC事務所 所長 和田様
JAXA
宇宙開発という壮大な事業を推進する中で、予算や時間のスケールが非常に大きいと感じました。日本がこの分野で世界をリードしていることは素晴らしいものの、このリードを維持するには国としてさらなる注力が必要だと感じます。また、新しいファンドも開始されたとのことで、日本の宇宙事業がさらに活性化することを期待しています。
JSPS-DC事務所 副所長 小松崎様
JSPS
日本の研究者にとって馴染み深い助成団体であり、少人数の職員で多岐にわたる事業を遂行されている点に感服します。海外特別研究員が有名ですが、帰国後の研究発展を支援する助成(帰国発展研究)もあり、帰国を検討している方には採択されると力になる助成です。個人的にはまだ縁が少ないので、いつか採択されることを目指したいです。
JST-DC事務所 副所長 津田様
JST
日本の戦略目標に基づいて助成を行うため、主にPI(研究代表者)向けの助成金が中心です。CRESTやさきがけに採択されると、研究費だけでなく名誉やコミュニティへの参加といった大きなメリットが得られます。応募の際は、事業目的を正確に理解し、それに沿った申請書を作成することが重要だということです。
AMED-DC事務所 所長 佐藤様
AMED
医療分野に特化した助成を展開し、基礎から応用まで幅広くカバーしています。HFSP(ヒューマンフロンティアサイエンスプログラム)を運営するなど、国際的なフェローシップや助成事業にも力を入れているようです。特にJSTと共同で運営している、先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)では、日本人研究者が最先端研究の国際ネットワークに参画を推進することが目的ということで、予算の使い方が独特で印象的でした。
各FAが2500億円超の予算規模で助成事業を展開されており、日本の研究開発の発展を目指し、多くの事業を立ち上げているのは素晴らしいことです。しかし、NIHなどに比べると、予算規模は圧倒的に少なく、研究費や待遇、ポストの数について満足できる環境とは言えません。この状況は、研究者の多くが日本の研究開発へのさらなる投資を求める理由でもあります。
研究を進める上では、FAの事業について常にアンテナを張り、最新情報を把握しておくことが重要です。また、大型プロジェクトに参加することで、研究費以外のサポートも得られる可能性があります。今回のイベントは、日本の研究助成事情を深く知る貴重な機会となりました。
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