8月、H1Bビザの東京大使館での面接の帰りに、山岸覚先生(浜松医大)と江角重行先生(岐阜大)を訪問しました。浜松医大ではセミナーもさせていただきました。お二人とも私が渡米している間に教授に昇進されており、そのお祝いのご挨拶も兼ねて伺いました。
ひつまぶし山岸先生・江角先生とは、2019年の解剖学会若手研究者の会「夏の学校」の企画運営をご一緒して以来のお付き合いです。実際にお会いしたのはその合宿が最初で最後でしたが、夜の懇親会が濃厚だったせいか、留学中もご縁が続いていました。人間関係は不思議なもので、何度会っても合わない人もいれば、離れていても自然に繋がり続ける人もいると実感します。
山岸先生は助教から同大学内で教授に昇進され、新しい研究棟(通称「やまちゃんビル」)も建てられており、まさにご活躍の真っ只中です。日本では内部昇進で独立するのは非常に難しいのが現状ですが、先生は「運がよかった」とおっしゃっていました。とはいえ、安心して研究・教育に打ち込めるよう、もっとインターナル昇進の機会が増えるべきだと感じますし、日本でもPI職はもっと拡充されていいと思います。もちろん、公平で適切な評価システムが伴うことが前提ですが。
セミナーでは、NIDAでの探索行動に関わる神経回路の研究を紹介しました。ラボ内の小規模ミーティングを想定していたのですが、思った以上に医学部の先生方にお集まりいただき、鋭い質問も多く飛び交い、無職ボケしていたところに良い刺激をいただきました。とても楽しい時間でした。
その日の夕方に浜松を出て、そのまま岐阜へ移動。浜松は東京・名古屋どちらにもアクセスがよく、岐阜も名古屋まで電車で20分ほど。地方でありながら都市圏に近く、立地が非常に良いと感じました。
到着が遅かったのですが、一杯だけでも行こうと誘っていただき、岐阜駅構内の居酒屋で名物料理を駆け込みでいただきました。その後は駅周辺で一泊し、翌朝はジョギングがてら岐阜城のある金華山(稲葉山)に登りました。
塩が多くて残念そうな江角先生翌日は研究室訪問。解剖室なども見学したかったのですが、江角先生の熱いトークであっという間に時間切れとなり、結局は教授室でのお話で終わりました。教授選の心得についてもご教示いただきましたが、最後は「なぜ自分が通ったのかは今でも分からない」というオチで笑。またぜひお邪魔したいです。
岐阜城余談ですが、日本ではごく一部の「選ばれしスター」を除き、ポスドクを少し経験してすぐに独立するケースは稀で、独立のピークは40代半ばから50代前半あたりかと思います。教授やPIになるまでには、膨大なストレスと労力、そして時間と運が必要です。その厳しい現実を知ることで、若い研究者がアカデミアに残る意欲を削がれてしまう一因にもなっているのではないでしょうか。もっとも、教授になることがゴールではありません。チームで研究や教育に携わることを好み、PIとしてのマネジメントや資金調達よりも、現場での研究に専念したいと考える人も多いはずです。「教授にならなければ一人前ではない」という空気は、これから変わっていくべきだと思います。
この後、先生はお子さんの試合観戦のため熊本へとはいえ、勢いのある先生方のお話を伺うのは本当に刺激的で、今回の訪問もとても有意義な時間となりました。
(浜松では写真を撮り忘れました。)


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