坂野仁先生のご講演@ボストン日本人研究者交流会(利根川先生追悼公演)

BJRF

昨年度から参加させていただいているBJRF(Boston Japanese Researchers Forum)ですが、2026年9月から新しい幹事メンバーで本年度の活動を開始しました。BJRFでは、毎年度最初の講演を基調講演とし、ボストン界隈で活躍されている教授クラスの先生にご講演をお願いしています。

昨年から年始にかけて基調講演の演者を検討する中で、利根川進先生にぜひご登壇いただきたいという話になり、幹事長の小松さんが打診したところ快くお引き受けいただきました。日程や会場の調整も進み、私たちも開催をとても楽しみにしていました。しかし、残念なことに2026年7月11日に利根川先生が急逝され、ご登壇は叶わなくなってしまいました。

幹事会にとっても大きなショックで、一時は追悼の意を込めて基調講演そのものを中止する案も出ました。私はわりと諦めが悪い方なので、幹事会の中で「利根川先生にゆかりのある先生にご登壇をお願いしてみてはどうか」と提案しました。もしご縁のある先生をお招きすることができれば開催し、難しければ今年度は中止とする、という方針になりました。

そこで、私は利根川先生のご経歴や研究上のつながりなどを調べ、何名かの先生にご連絡させていただきました。その中で、坂野仁先生(東京大学)と北村貴司先生(UT Southwestern)のお二人から直接ご返答をいただき、当初はお二人をお迎えして開催する方向で準備を進めました。残念ながら北村先生はお仕事の都合でボストンにいらっしゃることが難しくなり、最終的には坂野先生を中心に基調講演を開催することになりました。北村先生を今回お迎えできなかったことは非常に残念でしたが、また学会などでお会いできる機会を楽しみにしています。

坂野先生にご登壇いただくことが決まってからは、あとはほぼマニュアルに沿って準備を進めました。BJRFは長い歴史があり、優秀な先輩方が代々運営してこられたこともあって、運営マニュアルがしっかりしています。生化学若い研究者の会もそのような感じでしたね。

ただ、問題になったのが会場です。例年はMITの会場を利用しているのですが、今回はうまく都合がつきませんでした。どうしようかと困っていたところ、幹事長の小松さんを通じて、MGH日本人会の運営にも関わっておられるMGHの堀田先生にご協力いただき、MGH内の素晴らしい会場を確保していただくことができました。大変ありがとうございました。

さて、坂野先生は神経科学・嗅覚研究の世界では非常に著名な先生です。先生について調べると、Wikipediaには語録まで載っており、Podcastなどでも研究室OBの方々からさまざまな「伝説」を耳にします。私自身は今回初めてお会いすることになり、講演をとても楽しみにしていました。

当日のご講演では、長年取り組まれてきた嗅覚研究を振り返るお話に加え、最近取り組まれている、森憲作先生との対話をきっかけとした研究(1, 2)についてもご紹介いただきました。私は、利根川先生との思い出話もいろいろ伺えるのかなと思っていたのですが、坂野先生は冒頭でそのことに触れつつも、「それはさておき、私の研究の話をしよう」という感じで研究のお話へ。なるほど、これが坂野先生かと、研究に対する熱い熱意を感じました。

講演動画はBJRFのYouTubeチャンネルで公開しています。
https://www.youtube.com/watch?v=KgqHaT-63S0&t=6468s

講演後の懇親会も大盛況でした。坂野先生は終始たくさんの参加者に囲まれており、私自身は残念ながらほとんどお話しすることができませんでしたが、また別の機会にいろいろとお話を伺えたらと思っています。

利根川先生のご逝去は、本当に残念な出来事でした。今回、利根川先生を偲ぶ基調講演として坂野先生をお迎えし、多くの方にご参加いただく会を開催できたことを、本当によかったと思っています。利根川先生が長年研究を続けられたボストンで、日本人研究者コミュニティとしてこのような場を設けることが、ささやかながら追悼の一つになっていればと思います。