アメリカでの部屋探し

アメリカ

留学でも移住でも、新しい土地で生活を始める際、住居探しはとても重要なポイントです。

特に、頼れる知り合いもおらず、右も左も分からない土地に初めて住むのであれば、多少家賃が高くなっても、まずは安全で職場に近い場所を選ぶのがよいと思います。実際に1年ほど暮らして土地勘がついてから、より安い場所や自分の生活に合ったエリアへの転居を検討すればよいでしょう。何より安全第一です。

私は2020年に渡米して以来、ボルチモアで3回、ボストンで2回、住居探しと引っ越しを経験しました。もちろん都市や時期によって事情は異なりますが、その経験をもとに、アメリカでの住居探しについてまとめてみます。

住居の周辺を散策して街の特徴をつかみましょう

1.住居の検索手段

A.大手不動産サイトを利用する

Apartments.comZillowなどの大手不動産サイトに掲載されている物件から探す方法です。個人的には、なるべく最近掲載された物件から見ていくのがよいと思います。長期間掲載されたまま借り手がついていない物件には、何か理由がある可能性もあります。
また、都市部では物件の入れ替わりがかなり早く、ウェブサイト上では空室になっていても、問い合わせた時点ですでに契約済みということも珍しくありません。気になる物件があれば、早めに問い合わせることをおすすめします。

B.口コミや知人から紹介してもらう

知り合いを通じて物件を紹介してもらえることもあります。
特に、すでに日本人や知人が住んでいるアパートであれば、周辺環境や管理会社、建物の問題点などについて事前に情報を得られるため、大きな安心材料になります。アメリカでの住居探しは、どちらかというと「なるべく問題点の少ない物件を探す」という感覚に近い気がします……。

C.不動産エージェントやリロケーションサービスを利用する

大都市圏では、日系の不動産会社やリロケーションサービスを利用できることがあります。
私自身、最初の住居探しでは、先輩から紹介していただいたベセスダのリロケーションサービスを利用しました。もちろんサービス料は必要ですが、日本語で相談でき、契約や生活の立ち上げまでサポートしてもらえる安心感は大きかったです。個人的にもその後お付き合いが続いており、利用してよかったと思っています。
一方で、ある程度英語で手続きを進められ、自分で物件を探せるのであれば、必ずしも必要ではありません。私も最初の一度を除けば、その後の住居探しや引っ越しは基本的に自分で行うようになりました。

単身で初めて渡米する場合、日本語で生活のセットアップを手伝ってもらえたり、困ったときに相談できる窓口があったりすることは非常に心強いと思います。もちろん現地に友人や知人がいれば相談するのもよいですが、契約やトラブルが絡むことについては、責任の所在を考えても専門家に依頼するメリットがあります。アメリカでは、日本に比べて契約や住居をめぐるトラブルに直面する機会が多い印象があります。

少し言い過ぎかもしれませんが、日本人同士だからといって必ずしも気が合うとは限りません。異国の地で余計な人間関係のトラブルを抱え込まないに越したことはありません。逆に、自分が相談や仲介を頼まれた場合も、責任を負えないことについては安請け合いしない方がよいと思います。

D.SNSで探す

FacebookなどのSNSで物件やルームメイトを探す方法もあります。特に若い留学生などがルームメイト探しに利用しているのをよく見かけます。

条件のよい物件が見つかる可能性はありますが、相手や物件の信頼性を十分に確認する必要があります。初めての海外生活だったり、家族で渡米したりする場合には、個人的には最初からこの方法だけに頼るのはおすすめしません。

2.管理会社・大家さんに連絡する

興味のある物件を見つけたら、すぐに管理会社や大家さんへ空室状況を確認しましょう。都市部では物件の入れ替わりが早く、良い物件はすぐに決まってしまうので、速度勝負です。また、ウェブサイト上では募集中でも、実際にはすでに埋まっている、いわゆる「見せ物件」のようなケースもあるので注意が必要です。

最近はバーチャル内見に対応している物件も多いですが、可能であれば実際に現地を訪れて内見することをおすすめします。写真や動画だけでは、建物周辺の雰囲気、騒音、におい、共用部分の状態などはなかなか分かりません。

物件そのものに加えて、周辺環境も確認しておくとよいでしょう。例えば、

  • Grocery store(スーパー)
  • 駐車場
  • Laundry
  • USPS
  • 公共交通機関

などへのアクセスは、日々の生活にかなり影響します。特に車を持たない場合、スーパーと職場へのアクセスは重要です。

 管理会社のサービスの質も重要なポイントです

3.契約条件をしっかり確認する

賃貸契約の条件は、契約前によく読んでおくべきです。

大手の管理会社であれば契約内容は比較的定型的なことが多いと思いますが、小規模な管理会社や個人大家の場合は特に注意した方がよいでしょう。とんでもない契約を提示されるケースは多くないとは思いますが、少なくとも自分が何に同意しているのかは把握しておくべきです。

今ではAIを使えば英文契約書の和訳や条項の解説もかなり簡単にできます。便利な時代なので、分からないところを放置せず確認しておくことをおすすめします。

家賃だけでなく、以下の項目も確認しておきましょう。

  • Rent
  • Renter’s insurance
  • Electricity
  • Gas
  • Heating
  • Water
  • Internet
  • Parking
  • Laundry
  • 入居時・退去時の費用
  • Security deposit
  • 契約更新・中途解約の条件

特にUtilityが家賃に含まれているかどうかは重要です。月々の固定費がかなり変わります。

ボルチモアに住んでいた頃はそれほど意識していませんでしたが、ボストンでは冬の暖房費がかなり高くなるという話をよく聞きました。暖房が家賃に含まれていない物件では、冬場にUtilityだけで数百ドルかかることもあるようです。そのため、私自身は暖房費込みの物件を優先して探しました。

また、都市部ではIn-unit laundry付きの物件は家賃が高くなりがちですが、洗濯機と乾燥機が部屋にあるとQOLはかなり上がります。

例えば、

物件A
家賃 $3,000
水道・光熱費・インターネット込み

物件B
家賃 $2,500
Utilityはすべて自己負担

という2つの物件があったとします。

一見すると物件Bの方が500ドル安く見えます。しかし、家族構成、地域、季節、暖房方式などによっては、Utilityやその他の費用を加えると物件Aとの差がかなり縮まる、あるいは逆転する可能性もあります。

家賃だけを見るのではなく、契約前に「毎月いくら必要になるか」を概算しておくことをおすすめします。

4.引っ越し:退去と入居

引っ越しが決まったら、まず管理会社や大家さんと退去手続きを進めます。契約書に従い、退去通知の期限や鍵の返却方法などを確認しましょう。

アメリカでは、退去時に管理会社との立ち会いがない場合もあります。そのため、退去直前に部屋の写真や動画を残しておくことを強くおすすめします。後日、原状回復費用などについて請求された場合の記録になります。

これは入居時も同じです。入居したら、まず部屋の設備や状態を確認し、傷、汚れ、破損などを写真や動画で記録しておきましょう。問題があれば、できるだけ早く管理会社へ連絡して修理を依頼します。

自分で引っ越しをする場合には、トラックの手配だけでなく、必要に応じて道路使用や駐車スペースの確保など、自治体や建物ごとの規則も確認する必要があります。同じアメリカ国内でも、州や都市が変わればルールや必要経費はかなり違います。引っ越し業者、コンテナ輸送、フルサービスの引っ越し会社などを利用する場合も、できれば複数社から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較することをおすすめします。

5.最後に

住居を何を基準に選ぶかは人それぞれですが、私が最も重視するのは安全性です。多少不便だったり、家賃が高かったりしても、まずは安全な場所を選ぶことをおすすめします。

次に重要なのが通勤時間です。個人的には、移動手段を問わず片道20分程度以内に収まるとかなり快適だと感じています。特に2年程度の短期留学であれば、時間そのものが貴重です。毎日長時間を通勤に使うより、多少家賃が高くても職場の近くに住むメリットは大きいと思います。現地での生活に慣れ、土地勘がついてから郊外の物件などを検討するのもよいでしょう。

もちろん、どれだけ慎重に選んでも、実際に住んでみて初めて分かる問題はあります。騒音、隣人、建物の設備、管理会社との相性など、事前には予測できないことも多々あります。時間とともに解決する問題もありますが、住居のストレスは日々の生活や仕事のパフォーマンスに直結します。問題が大きく、改善する見込みが乏しいのであれば、可能な範囲で早めに転居を検討してもよいと思います。

後から振り返れば、住居や隣人とのトラブルも「海外生活の思い出」になるのかもしれません。ただ、多くの人にとって留学や海外赴任の目的は、そうしたトラブルを経験することではないはずです。多少お金がかかったとしても、安心して暮らせる生活基盤を早めに整え、本来の仕事や研究、海外生活そのものに集中できる環境を作ることが大切だと思います。

家賃の高いボストン、サービスはその分そこそこ